11月いっぱいアリゾナの秋季リーグに参加し、更なる経験を積んだ後、吾郎は日本へ一時帰国することにした。
まず最初に聖秀の山田に帰国の電話を入れて、しばらく部屋で昼寝をしてからおとさんの墓参りに出かけた。
ちょうど墓参りから戻ろうとして、清水にばったりと出会い自分のバッツで初セーブ挙げた時のサインボールを手渡す。
清水の嬉しそうな顔にホッとして家に戻った。
久しぶりに日本食を堪能した後、英毅の部屋へ行きパソコンを開いた。
寿也や眉村がプロ野球でどんな活躍をしているのか見るためだ。
今年の優勝はウォリアーズで、なんと寿也は捕手では35年ぶりの新人王を獲得していた。
眉村もブルーオーシャンズ自体は最下位だったが、個人投手成績では防御率3.21でリーグ5位の成績を残していた。
「すげぇ、すげぇよ寿!」
あまりに驚いて椅子から転げ落ちた身体を起し、明日は寿也に会いに行ってみようと考えていた。
翌日、ウォリアーズの2軍寮で寿也と再開。
寿也の口からワールドカップの話を聞かされた。
しかもアメリカであるという。
日本代表には新人では唯一眉村が選ばれていると聞き、吾郎は驚きを隠せなかった。
寿也も本当は選ばれたかったんだと、悔しそうな表情をした。
しばらくワールドカップの話題で盛り上がっていたがふっと会話が途切れた。
「吾郎君。ここじゃなんだし、僕の部屋おいでよ」
「いいのかよ。俺が勝手に上がり込んで」
「別に構わないだろ? 男同士だし。誰も変に思わないよ」
そう言われ、それもそうだと開き直って寿也の部屋へついてゆく。
モドル/ススム