海堂編

LoveSick


成田空港を出発し飛行機に揺られること10時間。

吾郎は、ロサンゼルス空港に到着した。

そこで、置き引きにあったりいろいろなことがあったが、偶然知り合った同じメジャーを目指す八木沼隼人に出会い、彼の助けを借りてなんとかトライアウトに挑戦。

吾郎の実力を証明し、いきなりメジャーのロースター枠候補にえらばれた。

しかし、ギブソンJrと乱闘騒ぎを起したりして、最初に入ったサーモンズは即クビになり、 新しい球団を探す。

次に入った3Aのバッツでその実力を買われ、オープン戦で数試合登板し正式にクローザーとして起用されることになった。

春先こそ調子は出なかったものの、だんだんとチームらしくなって、6月にはとうとう首位に躍り出た。

そんな中、吾郎の前に新しく"ゴールデンルーキー”との呼び名が高いキーンが入団してきた。

彼はキャッチャーを務め、バッティングのセンスもよく、頭脳プレーのできる奴だった。

お互いの第一印象は、最悪。

吾郎は、彼の一方的なリードやその高飛車な態度が気に入らなかった。

そう、ハッキリ言えば嫌いだった。

しかし、試合でバッテリーを組む機会が増えるにつれて、彼のよさがだんだんとわかってきた吾郎は、気がつけばゲーム中に彼を目で追っている事もしばしば。

強いヤツに惹かれて行くのが彼の性分なのか、次第にキーンから目が離せなくなっていた。


(やっぱ偉そうなこと言うだけあって、やるなぁアイツ)

今日もベンチ裏から、彼がホームランを打つのを見ていた。

歓声を一身に浴びても表情一つ変えないクールさも彼の良さだと最近気がついた。

ふと、ホームから戻ってきたキーンと目が合い、ドキンと胸が高鳴った。

(あ、あれ……おかしいな。なんで俺、目が合っただけでこんなにドキドキしてるんだ?)

自分でも良くわからない感情に吾郎は戸惑う。

高鳴る鼓動に困惑していると監督が声を掛けてきた。

「おい、シゲノそろそろ肩作っとけ!」

「OK、ボス!」

気合は十分。

肩も温まり、登板のチャンスがやってきた。

マウンドに立てば、意識も集中してキーンのリード通りに投げることができる。

最初は彼のリードどおりに投げるのを嫌がってわざと逆球を投げたりしていたのだが、ここ最近はそんな気も起こらず、素直にリードに従っていた。

そのほうが気持ちよく勝てると気がついたからだ。

今日もクローザーとしての役割をキッチリと果たし、無失点で勝利を掴んだ。

「よっしゃ!」

最後のバッターを三振にとりガッツポーズをしていると、再びキーンが僅かに笑った気がした。

その変化に再び鼓動が速くなる。

(おかしい。絶対におかしいぞ、俺)

自然に意識してしまっている自分に戸惑いを覚えながら吾郎はベンチに戻った。

モドル/ススム




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