海堂編

LoveSick


キーンの入団で次々に勝ち星を挙げるバッツの面々は、オーナーの陣内アリスの家でホームパーティを行っていた。

「みんなが頑張ってるから、今日だけ特別ね」

連勝続きのおかげで、すっかり上機嫌のオーナーの言葉にチームメイトたちも大喜び。

ビールの一気飲みや、裸になって踊りだすもの様々でみんなでワイワイ盛り上がっていた。

吾郎は未成年なのでお酒が飲めるわけでもなく、食べる専門で黙々と食べていた。

「うぇっ、なんか変なジュース飲んじまった。あ、なんだこれ、カクテルかよ」

オレンジジュースかと思って飲んだものは、スクリュードライバーだった。

カクテルの中でもそこそこアルコール度数は高めである。

「ま、飲んじまったもんはしゃーねぇよな。 ジュースとあんま変わんねぇじゃん」

空になったグラスをテーブルに置き、これ見よがしにカクテルに手を伸ばす。

しばらくすると周りの酒の匂いも手伝って、なんとなく気分が悪くなり部屋の隅で壁にもたれかかった。

「おーい、大丈夫か? シゲノ」

顔を上げると、キーンの前にバッテリーを組んでいたサンダースが赤い顔してやってきた。

自慢のひげ面を近づけられ、さらに酒臭い息をかけられて余計に気分が悪くなる。

「ちょっとカクテル飲んだだけだから、心配すんなって」

「そうか? じゃぁ、少し外の風に当たってくるといい。少しは楽になるぞ」

「そうだな。そうさせてもらうよ」

吾郎は立ち上がると庭へ続く窓を開けた。広い庭にプールまで完備されている。

アメリカもやはり7月は暑い。

ただ、日本ほどまとわりつくような暑さはなく吾郎は緩く息を吐き、空を見上げた。

日本と違って月も星も輝いて見える。

風がそよそよと頬をなで少し気分を落ち着かせる。

吾郎はふと、用事があるから遅れてくる。と言っていたキーンを思い出した。



/ススム




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