海堂編
LoveSick
翌日からはもやもやしていた気分もすっきり晴れて、久々のランニングにでかけた。
途中で出会った英毅に、日本代表の練習試合に出れなくなったことを改めて聞かされ、些かショックを受ける。
そんな吾郎を見て英毅は
「そんなに参加したけりゃ、代表合宿のバッティングピッチャーでもやってくれ」
と冗談のつもりで言った。
だがそれが逆に吾郎の気持に火をつける事になってしまう。
最初はメジャー間近の自分が、なぜそんなボランティアまがいな事をしなければならないのかと憤慨したが、よく考えてみれば日本人メジャーリーガーの京四郎や板尾など世界屈指の大物と勝負してねじ伏せれば、監督の目に止まるのではないか。
と、とんでもないアイディアが閃いてしまった。
どんな形でも、監督の目にさえ留まればなんとかなる。
代表入り出来ればギブソンと投げ合う事も不可能じゃない。
ほんの少しの希望が持てた事で、沈んでいた気分も一気に浮上する。
「よっしゃ! バッティングピッチャーでもなんでもやってやる!」
気合いを入れなおし、拳をグッと握り締めた。
前/ススム