「適当に座ってて。僕、ちょっとシャワー浴びるから」
彼の部屋は、ワンルームマンションのように全て管理されていて部屋に備え付のバス、トイレ、小さいながらキッチンも備わっていた。
さすがに綺麗好きな寿也らしく男の部屋とは思えないほど整っていて、吾郎は戸惑いながら床にあぐらをかいて座った。
部屋の奥でシャワーの水音が聞こえてくる。
吾郎は自然と早くなる鼓動に苦笑した。
(なに、ドキドキしてんだよ俺。ただ寿也がシャワー使ってるだけじゃねぇか)
少しの物音にも敏感に反応し、ドアが開いて自分に近づいてくる足音にさらに鼓動が速くなった。
「なに、緊張してるのさ」
「……っ!」
左の耳元で囁かれ、ビクッと身体が強張った。
「そんなに緊張されると僕、困るよ」
今日は何もするつもりないのに、からかうような口調に顔がカァッと熱くなった。
「べ、別に緊張なんか……」
「本当? じゃぁ、僕の目を見て」
グイッと顎を持ち上げられ、視線が絡んだ。
久々に見る彼は、また少し大人びて見えて吾郎の鼓動は少しずつ加速してゆく。
ジッと見つめられると息をするのも忘れてしまいそうだ。
そんな吾郎に寿也はクスッと柔らかく笑みを零した。
「なんでそんなに、意識してるのさ」
「し、しょうがねぇだろ! 久しぶりの再会なんだし。それに……二人きりだし」
頬を染めながら俯く彼を、寿也はそっと引き寄せて肩を抱き軽く口付けた。
久々の吾郎の感触に貪るようなキスを繰り返す。
「ん……っふぅ」
途中、苦しくなったのか吾郎がドンドンっと寿也の胸を叩いた。
「は……ぁ……いきなりなにするんだよっ」
「ゴメン。苦しかった?」
「当たり前だっての」
肩で息をしながら口を尖らせる吾郎の肩を掴み、グイッと床に押し倒す。
「わっ! バカっ……危ねぇっ!」
もう少しで頭を勢いよく床にぶつけそうになり、さりげなく添えられた寿也の手に支えられてそっと床に組み敷かれた。
見上げると、一段と男らしさを増した彼の瞳が吾郎を捉えていて思わず息を呑む。
「吾郎君。久しぶりに君を抱きたいんだけど……いいかな?」
「ば……か。いやだっつっても、ヤるつもりだろ?」
意地悪く尋ねると寿也はクスッと笑った。
「まさか。僕はもうそんな子供じゃない。一応、意思確認は必要だろ? 君が何もしたくないって言うなら、僕はガマンするから」
まっすぐに見据えられて、吾郎ははにかんだ表情を見せる。
「俺がイヤだって言うわけ……ねぇだろ」
「それもそうだね」
背中に腕が回るのを確認し、寿也はゆっくりと覆いかぶさって首筋に少しきつめに吸い付いた。
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