彼らが行為に及ぶ少し前に、大河は病室の前まで来ていた。
ドアを開けようと手をかけたとき、中から艶っぽい声が聞こえて手を止める。
(おいおい、昼間っからAV鑑賞かよ。いくら退屈だからって……)
一瞬躊躇ったが、突然入って弱みを握ってやるのも面白いと思い、そっと中を覗いてみると頬を紅潮させ服をはだけさせてベッドに横たわる彼の姿が見えた。
その彼に覆いかぶさるようにして誰かがその首筋に顔を埋めている。
(え……これって、まさか……)
予想外の光景に大河の頭の中は真っ白。
見てはいけないと思いつつ、好奇心と誘惑には勝てずその場から目が離せなくなってしまう。
中に入る二人は、見られているとも知らずにその行為がどんどんエスカレートしていく。
(すっげー、ナマで見たの初めてだよ)
大河はすっかりその場に釘付けになり、鼓動がどんどん速くなって息をするのも忘れてしまいそうなほど緊張していた。
相手の男が此処からでは死角になっていて誰だか確認は出来ないが黒っぽい服装からして制服のようだ。
(確か海堂も確かあんな感じの制服だったような……)
ゴクリと息を呑み相手の男を確認しようと身を乗り出したその時――。
「あれ、清水じゃねぇ? どうしたんだ、そんなとこに突っ立って」
後ろから突然肩を叩かれて飛び上がるほど驚き、思わずドアにドンッと身体がぶつかった。
モドル/ススム