偶然付けたテレビでギブソンが自分を待っている事を知った。
まさか未だに自分の事を覚えていたと言うことに驚き戸惑う。
寿也と日本で一緒に野球がしたい。その思いは変わらないがやはり自分のおとさんを殺めたギブソンと戦ってきちんと決着をつけたい。
色々悩んだ末にアメリカ行きを決意した。
スカウトしてくれたブルーオーシャンズに自分で連絡をいれ、プロ入り拒否を決めた。
それでも自分の心は迷っていて、おとさんの墓参りに行った。
おとさんなら答えを見つけてくれるような気がした。
最終的にアメリカ行きを決定づけてくれたのは父 英毅だった。
「最高の舞台で、最高の男たちと闘って来い」
と迷う心に渇をいれてくれた。
そうと決まれば、寿也にこの事実を知らせなければいけない。
きっと初めは怒るかも知れないけど、最後は納得してくれる。
そう思ってた。
寿也は、吾郎の口からアメリカ行きを聞かされ驚いた。
「……吾郎君は僕と一緒にいるより、そんなにギブソンが大事なんだ……」
絞るような低い声で言われ胸が痛む。
「違う! そーじゃねぇんだ! そーじゃねぇけど……」
自分の気持ちをどう伝えていいのかわからない。
「……いいんじゃない? 君の人生なんだし。どうせ僕が止めた所で聞く耳持つような君じゃないだろ」
冷たい視線が突き刺さり胸が締め付けられる。
「寿……俺……俺は……っ」
「僕は君とずっと一緒に野球がしたかったよ」
吐き捨てるように言うと寿也は玄関へと消えていってしまった。
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