海堂編
LoveSick
(あの2人があんな仲だったなんて……)
家に戻ってからも大河は一人悶々としていた。
自分にとって寿也は眩しいほど手が届かない憧れの存在。
その彼が誰かと――なんて考えたくも無かった。
まして相手はあの吾郎だ。
ただの幼馴染ではないと思ってはいたがまさか其処まで深い関係だったとは。
(あーぁ、知りたくない事知っちゃったよ……)
ベッドにゴロリと寝そべり重く息を吐く。
(姉貴はこの事……知らないだろうな)
天井を眺めふと姉の事を思い出す。
今日はどうしても外せない用事があるからと薫に頼まれて様子を見に行ったのだが、目撃したのが自分でよかったと思った。
知ら無い方が幸せという事もある。
大河は携帯を手に取ると薫に「茂野先輩は元気だった」とだけ送信しその辺に携帯を放り投げた。
受け入れがたい現実はその日ずっと大河の思考に残りもやもやとした感情がずっと心に燻っていた。
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