鬼畜眼鏡

LoveSick


軽く唇が触れた瞬間、いきなり頭を掴まれ舌が侵入してくる。

抵抗する隙も与えられず、舌が口腔内を縦横無尽に這いまわる。

こんな濃厚なキスをされたら私は……。

「んっ! んんっ……ふ……」

鼻から抜けるような声が洩れ、羞恥心に駆られる。

「いい声だ。ゾクゾクする……」

口角から溢れ出した唾液をペロリと舐め満足そうにほくそ笑む。

シャツの上から胸の突起を弄られビクリと身体が跳ねた。

「あっ! ばかっキスだけだって言っただろうが」

「俺は了承した覚えはない」

チュッと首筋に吸いつかれゾクリと背筋が粟立った。

「そんな……っ」

ジワジワと沸き起こる快感に膝が笑いだし、腰が抜けそうになる。

そんな私を嘲笑うように佐伯の手が服の中へと侵入してくる。

「相変わらず敏感ですね。もしかして期待してたんじゃないですか?」

「そんなわけ、ないだろうっ!」

ククッと喉の奥で笑い下半身へと手が伸びてきた。

ズボンの上からでもはっきりとわかるほどに反応してしまっているソレを撫でられもどかしい刺激に腰が揺れた。

自分がどんな浅ましい姿を晒しているのか考えたくもない。

しかし、身体は快感に忠実だ。

私の意に反して、もっと強い刺激を求めて無意識のうちに佐伯の腕に腰を押し付けていた。

「ククッやらしいなぁ御堂さん」

「……ぁっ、くっ」

胸と下半身を同時に弄られ自然と息も荒くなる。

だが、それ以上のことをしようとしない。

もどかしい気持ちばかりが膨らんでゆく。

「はぁ……、佐伯っもう」

「もう、なんですか?」

「……っ」

意地悪く口角を上げて尋ねられ言葉に詰まる。

わかっているくせに、本当に性格の悪い。

「言わないと、わからないな」

ジッと見つめられ頬が上気してゆく。

「あぁ、そうか。もう止めて欲しいって事ですか」

「――え?」

突然、佐伯はスッと身体を離し、デスクの方へと向き直ってしまった。

一気に冷めていく熱と、燻ったままの身体は行き場を無くし、その場でガクリと膝が折れた。

「佐伯……っ」

「遅くなってしまったし、先に帰っていてください」

何事も無かったかのように仕事を続けようとする。

ここまで人を昂ぶらせておいて先に帰れとは……

つくづく性格の悪い男だ。

だいたい、こんな状態で帰れるわけが無い。

「こんな状態で家に帰れるわけないだろう。――クリスマスにまで意地悪するなっ」

ゆっくりと立ち上がり耳元でそう囁くと、佐伯は一瞬驚いた表情を見せた。

そして次の瞬間もの凄い勢いで隣のデスクに押し倒された。

「いいんですね? 後で文句は聞きませんよ」

「こんな状態のまま放置されるより数倍ましだ」

貪るような口付けに頭がクラクラしてくる。

自然と腕は佐伯の背中にまわり、脱がせやすいように腰が浮いた。

「随分積極的じゃないですか。やっぱり期待していたんでしょう?」

「五月蝿い! お前のせいだっ」

「こっちも準備万端みたいですね」

「……っ!」

一気にズボンと下着を脱がされ後ろに指が触れる。

「物欲しそうにヒクついて……やらしいなぁ」

「あ……そんな事は言わなくていいから」

とにかく今は燻っている熱をどうにかして欲しくて、佐伯の身体に足を絡める。

「これなら慣らさなくてもいけそうだな」

腰を掴まれ息を呑む。

熱いものが押し入ってくる感触は何度身体を重ねてもなれない。

だがそれも一瞬の事で、違和感の後に来るモノは抗いようの無い快感の渦。

「あっ、ああッ佐伯! そんなに激しくするなっ」

力強い送挿は思考力を低下させてしまう。

ここが何処だとかそんな事はどうでもいいと思えてしまうほどに溺れそうになってゆく。

「激しい方が燃えるんでしょう?」

「そんな事は……ぁあっ」

ガタガタと机が揺れる。

衣擦れや、肉のぶつかり合う音が聴覚を刺激し益々高みへと追い詰めてゆく。

「は……っ、もうもたないっ、もっとゆっくり」

「我慢しなくていい。イってもいいですよ」

「そんなっ、ぁあっ」

自身を握られ動きにあわせて扱かれて、頭の中が真っ白になってゆく。

「ぁあっ、駄目だっもう……っ出るっ!」

「沢山、イって下さい……っ」

「あっ、ぁあっ! くぅぁ――っ!!」

目の前がチカチカするほどの強烈な快感に呑み込まれ、私は佐伯の手の内に熱い飛沫を放った。



/ススム



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