鬼畜眼鏡
LoveSick
「――あれ? ここは?」
目を開けるとそこには、もう一人の俺の姿は何処にも無かった。
いつもと変わらない俺の部屋。
片足だけ脱がされた筈のズボンや下着も元どうりになっている。
「はは、オレはまた可笑しな夢を見たのか……痛っ」
夢、だと言い切るにはリアルすぎる腰の鈍い痛みに思わず顔を顰める。
毎回そうだ。
逢えば必ず同じような目に合うのはわかりきっている筈なのに。
それで自己嫌悪に陥る事もわかってる筈なのに、何故かあの石榴を手にとってしまう。
「俺達は表裏一体……か」
オレの中にもう一人の<俺>が居る。
ここに居るオレとは性格も考え方も全くの正反対。
アイツの考えている事は正直言ってオレには理解できない。
いつか、お互いを理解する日はくるんだろうか?
エンド
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