「此処の所、ずっと忙しくてご無沙汰だったからな。俺にこう言う事をして欲しくて来たんだろ?」
「――なっ!? ぅあっ」
ジリッと大きく一歩踏み出し<俺>との距離が一気に縮まる。
強い力で腰を引き寄せられ、その辺にあったソファにドッと押し倒された。
そして慣れた手つきでズボンのホックを外すと下着の中に手が伸びてくる。
「ちょっ、オレは別にそんな事したいなんて思ってないッ……ぁっ」
抵抗しようとする腕を片手で易々と受け止め、空いている手で下着越しに緩々と扱かれて身体の中心からじわじわと甘い疼きが広がってゆく。
「……は……ぁっ」
オレが感じるところは<俺>が一番よくわかっている。
的確に刺激を与えられ声が洩れそうになり慌てて手の甲を噛んだ。
「……っ……んぅ……」
「おい、そんなもの噛むな。痕が残る」
「うるさ……ぁっ、わかってるよそんな事」
わかってるけど、感じてる声なんて聞かせたくない。
無駄な抵抗なのかもしれないけれど。
声を押し殺しているとチッと言う小さな舌打ちが聞こえ、手の平に柔らかい感触が当たった。
「ぁっ」
それが唇だとわかった途端ゾクリと背筋が粟立つ。
<俺>は血が滲んだ手の甲をチロチロと舌で擽り、時々オレの方をジッと見つめる。
「ん……ふ……」
その視線が恥ずかしくて、全神経がそこに集中して鼻から抜けるような声が洩れた。
ゾクゾクするような甘い痺れにどんどんおかしな気分になってゆく。
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