鬼畜眼鏡
LoveSick
「クラブRへようこそ」
MrRの喜々とした声が頭の奥に響く。
「……どうも」
別に来たくて来たわけじゃないのに。
挨拶もそこそこにいつものように部屋に入った。
「遅かったな」
「別に。会いたくて来たわけじゃないよ」
ソファに座っていた<俺>が一歩ずつ近づいてくる。
「じゃぁなんで来たんだ?」
「それは……っ」
なぜ、と問われれば答えられない。
オレは嫌だと思っていたのに身体が勝手に動くから……。
「お前がオレを呼んだんじゃないか」
「俺が?」
そうだ、きっとそうに違いない。
<俺>が呼んだからあんなところに石榴があったんだ。
<俺>はオレの言葉に一瞬驚いたような表情をしたが、直ぐに眼鏡のブリッジを押し上げフンと鼻先で笑った。
「俺がお前を呼んだんじゃない。お前が望んだ事だ」
「オレが? まさか」
オレがアイツを呼ぶなんて有り得ない。
まさかそんなはずは……。
前/ススム