鬼畜眼鏡

LoveSick


「御堂さんって凄いですよねぇ」

「なんの話だ?」

突然、藤田に声を掛けられて御堂は首を傾げた。

前の会社に居た時から御堂の仕事っぷりは知っている筈だし、特にこれと言って感心されるような事をした覚えは無い。

藤田の言う”凄い”の意味がわからずに尋ねると彼は真面目な表情でピッとスーツを指差した。

「こんなに暑いのに部屋の中でまで上着着たままで、暑くないんですか?」

「っ!」

上着の事を指摘されるとは思っていなかった御堂は少々面食らってしまった。

そして、それと同時に社長の椅子に座っていた克哉から失笑が聞こえ、そちらを睨み付ける。

いくら冷房が効いているとは言え真夏にスーツをビシッと着こなしていて暑くないはずはない。

まさかシャツの下には克哉がお仕置きと称してベルトでギチギチに取り付けたローターが貼り付けてあるなどとは言えずに動揺する。

「御堂さんは、昨日から悪寒がすると言っていたぞ」

「そうなんですか? じゃぁ仕事切り上げて休まないと」

横やりを入れてきた克哉の言葉を鵜呑みにし、目を丸くする藤田。

心配そうに近づいてきたのとほぼ同時に胸に微弱な震動が伝わってきた。

「クッ」

思わず身体が跳ねて声が洩れそうになる。

「御堂さん? 大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だ……ぅっ」

急に体を強張らせ苦悶の表情を浮かべる御堂の顔を覗き込む藤田。



/ススム



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