鬼畜眼鏡

LoveSick


「何やってんだろうな、オレ……」

ポツリと呟いて、あまりの虚しさに可笑しさが込み上げて来た。

「御堂さん……」

そっと髪に触れようとして、慌てて手を引っ込める。

気軽に触れ合えるようなそんな仲じゃない。

御堂さんにとってオレは取引の道具以外の何者でもない。

オレと御堂さんの間には愛情なんて存在しないのだと改めて気が付いて急に胸が苦しくなった。

こんなに近くに居るのに、触れることも出来ない。

微妙な距離に胸が痛む。

そんな事初めから解っていたはずなのに……。

この胸の痛みはなんだ?

なんでこんなに切なく苦しい気分になるんだよ、オレ。

最初から割り切っていた筈なのに嫌で嫌で、御堂さんの顔も見たくない、出来ればもう触れて欲しくないほど苦痛だった筈なのに。

こんなに近くに居て、気軽に触れることすら出来ない今の状態の方が辛いと感じるなんて。

オレ、変だ。

どうしてそんな風に思うようになってしまったのかわからない。

解らないけれど、苦しくて辛くて、胸が張り裂けてしまいそうだ。


/ススム



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