鬼畜眼鏡
LoveSick
仕事を終えて帰宅しようとしたら、突然片桐から飲みに誘われた。
電話越しに聞こえる元同僚のどんちゃん騒ぎから推測して、周囲が相当出来上がっていることは容易に想像できる。
本多達に絡まれるのも面倒で断ろうかとも思ったのだが、片桐にどうしても来て欲しいと懇願され仕方なく行きつけの居酒屋へと足を運んだ。
「――どういうことなんだ?」
店に入るなり克哉が呟いた言葉。
てっきりいつもの場所で気の合う仲間と飲んでいるだけかと思っていたが、他の課の者や部長クラスのお偉いさんまでが顔を揃えている。
「よぉ! 久しぶりだなぁ克哉。お前も来たのか」
一際野太い声に呼ばれ、何がなんだかわからないままに隣に座る。
「おい、一体何がどうなってるんだ?」
どうみてもキクチマーケティングの面々が集まる宴会だ。
元社員とはいえ、自分が呼ばれた意味がわからない。
すっかり出来上がっている彼はそんな克哉の疑問を気に留める事無くヘラヘラっと笑い白い歯を覗かせた。
モドル/ススム