鬼畜眼鏡
LoveSick
ふと目を開けると、自分の部屋じゃなくて見慣れない真っ白な天井が広がっていた。
「……っ」
腰から下の鈍い感覚。
オレのすぐ脇に人の温もりを感じ胸がざわついた。
そう、だった。
オレは夕べも御堂さんに呼び出されて此処で――。
昨夜の出来事を全て思い出してしまい、嫌悪感に襲われる。
今やプロトファイバーの売り上げは伸び続け、順調に行けば目標本数達成も夢ではない所までやってきた。
寧ろこの調子なら引き上げられた本数までも余裕でクリアしてしまいそうな勢いだ。
今ならオレが御堂さんとの関係を終わらせようと言ったとしても会社にはなんのリスクも無いはず。
御堂さんだって……。
こんなリスキーな関係、続けていく必要はないともうわかっている筈だ。
余程疲れているのか、珍しく瞼をしっかりと閉じたまま起きる気配もない。
寝る間も無いくらい忙しいはずなのに、なんでオレとの関係を続けているんだろう。
オレも、”もうこんな不毛な関係止めましょう”と一言言えばそれで終わる筈なのに何故か時間と場所を書かれたメモを渡されると拒否出来ない。
前/ススム