鬼畜眼鏡

LoveSick


目が覚めるとそこはまだ薄暗く、辺りはシンと静まり返っていた。

ふと、隣に目をやると穏やかな寝息を立てている恋人の姿。

コイツ、寝るときにまで眼鏡をはめて寝るのか。

それとも、外すのを忘れてそのまま眠ってしまったか。

どう考えても、後者は違うな。

コイツがそんな間抜けな事をするはずが無い。

そっと銀のフレームに手を伸ばすと佐伯が「んっ」と小さく身じろぎをした。

起こしてしまったのでは、と内心ドキリとしたがそうではないらしい。

ホッとしてゆっくりと眼鏡を外すと折りたたんでサイドテーブルの上に置いた。

「……」

そう言えば、佐伯の寝顔を見るのは初めてかもしれない。

こうやって眼鏡を外した顔をじっくりと見てみると出会った頃とも、現在の佐伯とも違う不思議な感じがする。

初めて出会った時の眼鏡をはめていない佐伯。

どこか頼りなくオドオドした印象さえ受けた。

眼鏡を掛けているか掛けていないかでこんなにも性格が変わってしまうのかと、その変貌振りに戸惑った事もあった。

ただ、再会してからと言うもの長い事一緒に居るが眼鏡を外した姿を見ていない。

今、私の目の前で穏やかな寝息を立てているコイツはどっちの佐伯なんだろう。

ふと、そんな事を思う。

/ススム



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