海堂編
LoveSick
季節は流れ春になった。
あの日以降彼らとは連絡を取っていない。
何度か電話の受話器を取った事はあったが結局電話が繋がる手前で切ってしまった。
距離を置いた方がいい。
多分、色々と悩み考えた末の結論なのだろう。
テレビでは連日海堂高校が甲子園で快進撃を続けており、着実と眉村、佐藤のバッテリーの存在を全国に知らしめていた。
その事実を少しくすぐったく感じながら、今日も吾郎はグラウンドへ向かう。
多分、あの調子では春の大会優勝はまず間違いない。
「敵はでかいほど燃えるってな!」
「何が燃えるんっすか?」
ユニフォームに着替え、気合を入れた所で聞きなれない声がした。
振り返ると私服姿の大河がいて、一瞬ドキリとする。
彼には一度醜態を見られている為なんとなく会うのは気まずい。
なんの心の準備もしておらず面食らってぽかんと口を開けた状態の吾郎を見て、大河は生意気そうに鼻で笑った。
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