海堂編

LoveSick


辛くも香取、唐沢率いる久里山戦に勝利した一行は、怪我人も増え満身創痍の状態でオーシャンスタジアムに立っていた。

いよいよ今日、夢にまで見た海堂戦が実現する。

(ついに来てやったぞ……寿!)

決して順調ではなかった今までの試合を思い出し感慨深くマウンドを見つめる。

その後ろで藤井達が初めて間近で見るスタジアムのグラウンドに感嘆の声を上げていた。

「ついに来たんだな、俺達……」

「あぁ。タフな試合になりそうだぜ」

三塁側ベンチに姿を現した海堂1軍のメンバーに聖秀野球部は水を打ったように静まり返り息を呑む。

一瞬、寿也と目が合ったような気がしたが綺麗にスルーされ、吾郎は少しムッとした。

(なんだよアイツ。いくら今から試合だからってそうツンツンすることねぇじゃねぇか……)

試合に私情を持ち込むつもりは無いが、存在に気付いていながらニコリともしない相手に苛立ちを覚える。

(この試合、ぜってぇ勝ってあいつらの鼻をあかしてやる!)

どんよりとした厚い雲に覆われた空を見上げ、拳をグッと握り締める。

「よっしゃ、行くか!」

「おー!!」

気合を入れなおし、聖秀野球部は運命の一戦へとその一歩を踏み出した。

/オワリ

Menuへ戻る


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -