「と、寿! 俺もう……」
散々焦らされ、執拗に弄られ吾郎は我慢の限界だった。
そんな彼を見て、寿也はクスッと笑う。
「なに? もうイカせて欲しいの?」
「う”っ」
ストレートに言われ、顔が更に赤くなる。
「でも、こんなとこではイケないよね? どうしよっか」
そんな彼の反応を愉しむかのように甘い声で囁く。
「も、何でもいいから」
潤んだ熱い瞳で懇願されれば、さすがの寿也もこのままこの場で押し倒したい衝動に駆られたが、そこは理性でグッと堪える。
「お店でて、家に来る?」
そう言われ、吾郎は二つ返事で頷いた。
寿也はニヤリっと笑い、眉村を見る。
「そういうことだから、あとよろしく」
勝ち誇ったように、耳打ちすると席を立つ。
「おい、どうしたんだ佐藤? 茂野も」
「う、うん。ちょっと外の風に当たってくるよ。ここ暑くて吾郎君、気分が悪いみたいだから」
それだけ言うと、部屋を後にする。
隣の部屋では藤井達がまだ盛り上がっていたが、今はそんなことどうでもよかった。
外の空気に触れ、幾分か落ち着きを取り戻す。
「ほら、ちゃんと自転車乗れる?」
「当たり前だ。もうだいぶ頭も冷えたからな」
すっかりいつもの調子に戻ってしまった彼を見て、寿也は内心チッと舌打ちした。
「僕の家、来るよね」
「はぁ? どうすっかなぁ」
「さっき行くって言ったじゃないか」
「あ、あれは、お前があんな事するから仕方なく……」
「そんなこと言ってると、この場で犯すよ?」
「え? 嘘うそ! もちろん行くに決まってるだろ?」
寿也の目がギラリと光り、マズイっと思ったのか慌てて手をヒラヒラさせる。
こんなところで犯られては、大変だ。
すっかり諦めて、寿也の後をついてゆく。
なんとなく、手玉に取られているようで悔しかったが口で彼に勝ったことは一度もないのを思い出しため息をついた。
彼の家に着くと、祖父母がいて吾郎はぎょっとした。
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