翌日、待ち合わせ場所で眉村と出会い、吾郎は昨夜必死で考えたクリスマス&誕生日プレゼントを渡した。
中身は、マフラーで彼に似合いそうな黒っぽいものを選んだ。
彼は、驚き目を瞬いていたが嬉しそうな顔で早速マフラーをつけた。
その喜ぶ顔を見ていたら、こういうのも悪くないな。と吾郎はおもう。
「んで、今日はどこ行くんだよ?」
ジャンバーのポケットに手を突っ込みながら、尋ねると眉村はうーんと頭を悩ませた。
「おいおい、まさか考えてなかったんじゃねぇだろな」
吾郎の問いに、黙って頷く。
「吾郎に会えると思って、それだけで頭がいっぱいで」
「んだよ。じゃあさ、ゲーセンでも行こうぜ」
吾郎は、眉村の手を引っ張り、ゲーセンへと向かった。
格闘ゲームや、シューティングゲームなど対戦をしてみるが、全て完敗で吾郎は少し落ち込んだ。
「おい、健。おめぇ強すぎ!! ちょっとは手加減しろよ」
「悔しかったら、勝てばいいだけだろ?」
さらりと言われ、グッと言葉に詰まる。
そのうちに、おなかが空いてきたので近くのファーストフードに入った。
「今日は、俺のおごりでいいから」
そう言って、列に並ぶ。
適当に頼んでから席に着く。
相も変らぬ食欲に眉村は思わず吹き出してしまった。
「あんだよ、何がおかしいんだ?」
「全然、変わってないな、吾郎は」
笑われて、むすっとした顔になる。
折角の誕生日だから笑って過ごしてやろうと思っていたのに、からかわれるとやはりムッとなる。
「悪かった。だからこっち向いてくれ」
「じゃぁ、そのナゲットくれたら許してやってもいいぜ」
「わかった。その代わり、ポテトと交代だ」
そうじゃないとやらん。と言われ、しぶしぶ交代する。
ポテトを差し出すと、パクッと吾郎の指まで銜えられた。
ドキッとした。
視線が一気に彼の口元へと向かい、慌てて目をそらす。
その視線に気がついたのか、急に会話が途切れる。
プッツリと途切れた会話に困って、ふと彼を見ると優しい瞳でじっとこちらを見ている。
他の仲間たちや似向ける視線や、マウンドでの冷たい視線とは違う、自分にだけ向けられるその視線に目が離せない。
「これから、どうする?」
「え?」
「どこか、行きたいところないのか?」
そう言われ、返答に困る。
ふと、店を出てすぐのところにカラオケを発見した。
「そこにでも行こうぜ」
眉村は黙って立ち上がり、吾郎の後をついていく。
二人でカラオケに行くとは思っても見なかったため、なぜか吾郎はドキドキしていた。
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