吾郎は自分の部屋で気だるい身体を起し、服を着替えていた。
ふと、携帯を見るとメール着信有りの表示が目に付く。
確認すると、眉村からだった。
吾郎はあまり携帯には詳しくなくほとんどかかってくる専用で、メールの操作などよくわからなかった。
何度も苦心しながらメールを開く。
そこには、『いつでもいいから、連絡くれ。待ってる』とだけ書かれていた。
少し戸惑いながら、電話をかける。
『もしもし、吾郎か』
「ああ、俺だけど、何の用だ?」
『実は明日、俺の誕生日なんだ。予定空いてるか?』
先ほどまで一緒だった寿也のことを考えてしまい一瞬、躊躇う。
しかし、どうしても一緒に過ごしたい。と言われOKすることにした。
それを聞いた眉村の声は本当に嬉しそうで、吾郎は少し胸が痛んだ。
(やっぱ早く、気持ちの整理つけなきゃな)
そう思って、電話を切る。
いつまでもずるずるとハッキリしない関係は二人を傷つけるだけだ。
どちらかを決める、決定的な何かが必要だった。
自分で決めることが出来ないなんて男らしくないと思う。
けれど、どんなに考えても答えは出ない。
二人とも、自分が最強と認めた男たちだから尚更選ぶことができないでいた。
(情けねぇよな、俺)
誰か相談できる相手が欲しいと吾郎は思うのだった。
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