吾郎が目を覚ましたのはまだ朝日が昇る前だった。
隣には寿也がすやすやと眠っていた。
久しぶりに見る恋人の寝顔に思わず魅入ってしまう。
そっと、彼の髪に触れてみた。
自分の固めのくせっ毛と違って柔らかくさらさらしていた。
眠っている顔はまるで女のようだと吾郎は思う。
睫毛も長いし、唇だって自分よりずっと柔らかい。
肌の色も、日に焼けやすい自分と違って白いほうだと思う。
そんなことを考えていたら、急に彼がパカッと瞳を開けた。
それと同時に腰に手を回され、ゴロンと下に組み敷かれる。
「お、起きてたのか?」
「当たり前だろ? こんな状況で眠れるほうがどうかしてるよ」
平然と言い放ち、はだけたシャツの隙間に手を入れ、
その感触を愉しむ。
「ちょっと待て! 隣の部屋に母さんたちがいるから、これはマズイって……っ」
「だったら、吾郎君が声出さなきゃいいだろ?」
にやり、と笑いシャツを胸の上まで捲り上げ唇を這わせ、味わう。
ビクッと彼の身体がわずかに震え、頬が紅潮してゆく。
その反応を愉しむかのように、片方の手をズボンの中へ差し込みゆっくりと愛撫する。
「やっ……寿っ」
必死に抵抗を試みるが、完全に目覚めきっていない身体は力が入らずだんだんと沸き起こる甘い快感が全身を支配てゆく。
「……んっ……ダメだって……寿」
寿也の与える刺激に耐えようと、シーツをぎゅっと掴み、かぶりを振る。
熱を帯びて潤んだ瞳で見つめられ、堪らず指をからめ深く口付ける。
「ふ……ぅ」
開いた隙間から洩れ出る甘い吐息が寿也の神経を昂ぶらせ、身体の中心から欲してしまう。
ズボンと下着を剥ぎ取り、自らも上着を脱ぎ捨てベッドの下に放り投げる。
彼の秘部へと手を伸ばせば火傷しそうなほど熱く、自然と腰が浮き待っているようにみえた。
「吾郎君……いい?」
「ば、ばか……そんなこと聞くな」
恥ずかしそうに、枕で顔を覆うその姿がとても愛らしい。
ゆっくりと身を沈めると、一瞬だけ苦痛の表情を見せる。
キシキシと、ベッドのスプリングの音が二人の聴覚を刺激する。
彼は必死に声を出すまいと手で口を覆っていたが次々にやってくる快感の波に本能が敵うはずも無く、次第に声が漏れ出す。
体勢を幾度と無く変えて、お互いの存在を確かめ合った。
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