海堂編

LoveSick


気が付けば一人もやの中に立っていた。

ここはどこだろう?

触れるもの全てがふわふわした感じで、実体が無い。

うっすらと遠くのほうに人影が見える。

海堂のジャージを着て、こちらに手を振っている。

「吾郎君……」

聞きなれた、甘い声がする。

寿也だ。

急いでそちらに行こうとするが、誰かに腕をつかまれ進むことが出来ない。

くそっ、誰だよ、俺の邪魔する奴は。

振り向くと、眉村が立っていた。

彼は黙って、じっと見ている。

向こうのほうで、寿也が呼んでいる。

「俺を選べ、茂野」

「僕を選んでくれるんだよね?」

二人同時に迫られる。

「え!?いや、俺」

二人とも、彼の返事を待っている。

吾郎が困っていると、寿也の目が光った(気がした)

「じゃぁさ、エッチがうまい方に決めれば?」

「はぁ!?」

「そうだな、それがいい」

二人で勝手に納得して、ズズイっと迫ってくる。

「で、どっちが上手いの!?」

完全に寿也の目は据わっていて、有無を言わせない迫力だ。

どっちって、言われても……

『どっちにするんだ?』

二人そろって声を上げる。

「だーかーらー、そんなの決められねぇって!!!」

/ススム

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