新学期が始まり、吾郎たちは二年生になった。
寿也と吾郎は同じクラスになり席順も前後で同じだ。
「寿ぃ」
「宿題なら、見せないよ」
前の席に座る寿也にきっぱりと断られ、吾郎は溜息をついた。
「そこをなんとか、な? 頼むよ」
上目遣いで見つめられ一瞬気持ちがぐらついたが、グッとこらえてそっぽを向いた。
「ダーメ。それじゃぁ、吾郎君の為にならないよ」
「それは、そうだけど」
「大体、いつも遅くまで雑誌なんか読んでるからいけないんだろ?」
痛いところをつかれ、ぐうの音も出ない。
「俺、今日当たるんだよなぁ」
一応教科書を読んでは見るものの、授業中はほとんどが睡眠時間に当てているため、何がなんだかさっぱりわからない。
ノートを開いてみるが、半分以上眠りながらうつしてある為、ミミズが並んでいるようにしか見えない。
「ぜんっぜんわかんねえ。なぁ、寿、俺が当たるとこだけでいいから、教えてくれよ」
そう懇願され、結局教えるハメなる。
バカな子ほど可愛いというやつだ。
授業中、寿也のおかげでピンチを切り抜けた吾郎は、彼の後姿をボーっと見ていた。
(そういや、寿也の奴いつも起きてるけど、眠くならないのか?)
夜は、ほぼ毎日のように行為に及び、朝は自分よりも早く起きる。
気がつけば明け方まで起きていることもしばしばあるのに、寿也のノートはいつもきちんと取られていて、寝ている様子はない。
練習中もきっちり自分の仕事をこなし手を抜いている様子も無い。
吾郎はそれが不思議でたまらなかった。
何か起きていられるコツがあるに違いない。
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