その後、授業に戻り何事も無かったかのように席に着く。
寿也は平然とした顔で、再びノートにペンを走らせる。
(すっげーな、寿也)
吾郎はさっきの行為の余韻がまだ残っていて、とても授業に集中できる状態ではなかった。
結局、先ほどの疲れが一気にやってきて、こっくりこっくりしてしまう。
「吾郎君。……吾郎君ってば!」
ふっと気が付くと、もう休み時間だった。
「あっれー、やっぱ寝ちまった」
ガバッと起き上がり、ノートを写そうと思ったがもう既に黒板は跡形も無く綺麗に消されていた。
授業の半分は起きていたものの、ノートは白紙のまま。
「寿ぃ」
「ダーメ。起きてたのに、ノートとらない君が悪いよ」
つーんとした態度に些かムッとする。
「……誰のせいだよ、誰の」
「自分のせいだろ?」
恨み言を述べても、さらっと返され二の句が継げない。
「それよりさぁ」
「なんだよ?」
さっきの、とても刺激的だったね。と耳打ちされ、思わず立ち上がり口をパクパクさせる。
そんな様子をチームメイトたちが不思議そうに見ていた。
「何を鯉みたいに口をパクパクさせとるんやアイツ?」
「さぁ? 」
その様子をクックックと肩を震わせて寿也は笑う。
(なーんか俺、寿也に弄ばれてる気がする)
「すっごくマヌケ面してるよ」
笑いすぎて涙が出た。
それを拭いながら、再びクックックと笑う。
「ほっとけ……」
ムスッとして頬杖をついて廊下を見やると、丁度次の先生が入ってくるところだった。
結局、次の授業も途中まで頑張ってみたが眠ってしまい、寿也にノートを写させてもらうよう、懇願するのであった。
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