五時限目、いつもならとっくに夢の中へ行っている筈の吾郎は珍しく眠れないでいた。
さっきの寿也の言葉が頭から離れない。
全くなんて想像してるんだ、と思わず緩く息を吐く。
しかし、イメージトレーニングとはよく言ったもので、さっきのことを考えているだけで眠気は一切感じなかった。
(授業に集中できるかどうかは別として)
ふと気がつくと、寿也がチラッとこっちを見ている。
教室の半分は睡魔に襲われ、ダウンする中、吾郎は一人悶々としていた。
そりゃ、自分だって寿也が好きだし、いつも一緒にいたいと思う。
キスも全然イヤじゃないし、身体を重ねるのも、嫌いではない。
と言うより、スキかもしれない。
寿也とのキスはすごく気持ちがいい。何度キスだけで腰に力が入らなくなったことか。
吾郎はそっと自分の唇に触れ、彼との感触を思い出す。
その時、再び寿也と視線が合った。
心臓が跳ね上がるほど、驚いた。
自分が今考えていたことを見透かされたようで、急に鼓動が速くなり、身体中が火照りだす。
「……っ」
見られて居ると思うと余計に気になってしまい、全身を舐めるようなその視線にゾクリと背筋が粟立った。
(ヤバイ。勃っちまった)
「ちょっと、トイレ」
吾郎は立ち上がると、慌てて教室を飛び出した。
その様子を寿也は肩を震わせ笑いながら見ていた。
吾郎の考えそうなことは何でもお見通しだ。
「先生、僕もトイレ、いいですか?」
少し間を置いて寿也も席を立った。
(情けねえ。学校のトイレで何やってんだよ)
トイレの個室の中、吾郎は何とか自分のモノを静めようと必死だった。
けれど、毎晩のように寿也のテクニックに慣れてしまった自身は中々おさまる気配がない。
「そんなとこで、何やってるんだい?」
突然話しかけられ、ビクッと身体が跳ね上がる。
「と、寿!!」
「無用心だよ。吾郎君、鍵ぐらいかけとかなきゃ」
開いたドアの隙間から寿也の姿が見えた。
「み、見るなよ」
みられている羞恥心でいても立ってもいられなくなる。
「授業中に、何のこと考えてたの?」
「……」
まさか、寿也とのキスを思い出していたとは、口が裂けても言えなかった。
「吾郎君、そのままじゃつらいだろ?」
楽にしてあげるから。と言って寿也は彼のモノを両手で包み込み優しく愛撫する。
「……っ」
彼に触れられただけで、さらに身体は熱を持つ。
首をすくめ、眉をひそめて感じているのか、肩で浅い息をする。
「寿っ」
ビクビクッと肩が震えて、熱い吐息が洩れ出る。
先端からは先走りの液がクチュクチュと音を立てて余計に聴覚を刺激する。
「は……ぁ……」
「吾郎君……」
あまりに刺激的な状況に、寿也のそれもズボンの上からでもハッキリとわかるほど形を変えていた。
吾郎もそれに気が付くと、自ら手を伸ばし、ズボンの上から擦り出す。
「お前、案外スケベなんだな」
「……君に言われたくないよ」
挑発的な目をして、みつめられ寿也は、目が眩み堪らず彼を抱きしめた。
「挿れてもいい?」
「……っ、最初からそのつもり、だろ?」
「よくわかってるじゃないか」
後ろ向きに便器に手を付かせ立ったまま挿入する。
「ぅっん……!」
小さな呻き声を上げ、苦悶の表情を浮かべるが、それはやがて恍惚へと変わってゆく。
「あ……ん……はぁっ」
だんだん大きくなるその声に、寿也は慌てて手で吾郎の口を塞ぐ。
今は授業中で、こんなところを誰かに見つかってしまっては大変だ。
「んっ、んっ……んんはぁっ」
いつもより色っぽく見えるのはこの状況のせいだろうか?
何も考えることも出来ないくらい、行為に没頭する。
やがて吾郎の背中が波打ち、熱い飛沫を迸らせた。
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