海堂編
LoveSick
「あのさ、色々考えたんだけど……、お前が俺のこと避けてるのって、今朝のことが関係してるんじゃないのか?」
「なっ」
部屋で勉強机に向かっていた寿也は、思わずシャーぺンの芯を折ってしまった。
いきなり確信をつかれ、ドキッとする。
「そりゃ、男として見られたくないとこ見た俺が悪いけど」
「吾郎君」
寿也は黙って首を振った。
それ以上詮索しないで欲しかった
誰にでも知られたくない事はある。
「ごめん、避けてるつもりはなかったんだ、誤解させるような行動は、もうしないか
ら」
それだけ言うと広げていた宿題を片付け立ち上がった。
「先、寝てていいよ。ちょっと出てくるから」
「お、おい……」
返事を聞く前に部屋を出た。
特に何か用事があるわけではなかったが、頭を冷やそうと思った。
確かに、今日の自分は変だ。
原因もわかっている。
でも、あれは夢。現実ではない。
現実では絶対にありえないことなのだから……。
平常心を取り戻さなくっちゃ。
いろんな事を考えながら、消灯を過ぎた薄暗い廊下を歩く。
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