監督室を出ると、眉村が待っていた。
「お前の言うとおりだったな」
吾郎がポンと肩を叩く。
そんな二人の様子を、寿也はいきさつがうまく飲み込めずにキョトンとした顔で見比べた。
「これは、どういうことだい?」
寿也が不思議がるのも無理はない。
彼らがやってきて一番ひやひやしていたのは他ならぬ寿也だったから。
とりあえず、ココで話をしていて誰かに聞かれるとまずいので、三人で吾郎たちの部屋へ移動することにした。
「いやー、俺と眉村まで呼び出し食らった時はマジ驚いたぜ」
吾郎はドカッとベッドに腰を降ろす。
寿也は自分の勉強机に、眉村は入り口付近に腕組をして立っている。
寿也は納得がいかないというような表情で吾郎を見つめその顔に気が付いて吾郎はめんどくさそうに後ろ頭を掻く。
「そんな怖い顔すんなよ。寿、何もお咎めなかったんだから、それでいいじゃねぇか」
そういわれても納得いかない寿也は、何か事情を知っているらしい眉村と吾郎を見比べる。
「じゃあ、どうやって証拠を隠したのか、教えてよ」
「わぁったよ」
吾郎は寿也が出て行ってからの出来事をかいつまんで話し出した。
(もちろん、風呂場であったことは伏せているが)
最後まで話を聞いて、寿也は椅子にもたれかかった。
「そうだったんだ」
「あのままほおっておいたら、大騒ぎになるのが目に見えてたからな」
「ありがとう、眉村」
寿也はお礼の言葉を口にする。その時眉村が微かに笑ったような気がした。
「べつに、たいしたことじゃない。まぁ俺もいい思いさせてもらったから……な」
「あっ、バカ!」
「!?」
吾郎がなにやら慌てた様子を見せうろたえる。
「今度から気をつけろよ」
そういい残し、眉村は部屋を出て行った。
二人の部屋には殺伐とした雰囲気が漂っていた。
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