唇を離すと、吾郎はきょとんとしていて、何が起こったのかわからないという顔をしていた。
声を発する前に再び唇を塞ぐ。
「んぅ……」
逃げる舌を追いかけて絡めとり、吸い上げると、吾郎の口からくぐもった声が洩れ始める。
ずっと夢にまで見た光景を今、この場で行っている。
触れたくて仕方のなかった肌がここにある。
潤んだ瞳や、上気した頬。
マウンド上では決して見ることの出来ない姿はとても妖艶で思わず目が眩みそうになり、再び深く口付ける。
ずるずると崩れ落ちる吾郎に、眉村が覆いかぶさるような形になった。
「……は、ぁ……」
ジャージの裾をたくし上げ、自分と同じ平らな胸の飾りの先端を口腔内に含む。
とたんに、吾郎の身体が跳ね上がる。
その時、廊下をバタバタと誰かが走りぬける音がした。
吾郎はビクッと身体を強張らせ、眉村の動きも止まる。
頭の中で、「止めるなら今だ」と誰かが警鐘を鳴らす。
それは眉村の中の理性だったのかもしれない。
けれど、目の前にいる彼はなんとも妖艶でとても理性だけでは抑えられるはずも無かった。
彼の全てが知りたい。
なりふり構わず自分のものにしたい。その想いが強くなっていた。
「んっ……」
たくし上げたシャツに手を入れ、ゆるゆると胸に手を這わせる。
さっき、口に含んだ先端は固く反応していて、指に触れると吾郎が息を詰めた。
自分の行為によって甘い吐息を洩らす吾郎。いつも側にいる幼馴染ではなく、自分の手で感じている。
麻薬のような優越感は脳を痺れさせ、もっと感じさせてやろうという気持が沸き起こる。
「やっ……ソコは……!!」
椅子にもたれかかるように、姿勢を変え彼の秘部に手を伸ばすとさすがの吾郎も激しい抵抗を見せた。
その腕を力づくで押さえつけ、構わず刺激を与える。
「……ふっ……ん」
堪らず熱い吐息を洩らし、身をよじる。
誰がいつやって来るかもわからず、さらに寿也以外の男に触られている。
そんな特異な状況が、吾郎を快感の渦へと誘い込む。
「いやらしい身体だな、茂野。もうココがヒクヒクしてる」
「あっ……!!」
彼をこんな風に開発したのが寿也だと思うと、いささか腹も立つが普段の横柄な態度からは想像もつかないような淫らで官能的なその姿はなんとも艶かしく、更なる興奮を掻き立てる。
自分のいきり勃ったったモノを吾郎の秘部にあてがうとあまり抵抗も無く銜え込む。
「ぅっ」
その瞬間吾郎は小さなうめき声を洩らしたが、すぐさま喘ぎ声に変わる。
眉村が動くたびに、妖しく淫らな声が洩れだす。
だんだん声が大きくなり、吾郎もここが何処であるのか忘れ行為に没頭した。
やがて、二人がほぼ同時に果てた。
「寿也には、絶対言うなよ。」
乱れた衣服を整えながら吾郎は眉村を見た。
「わかってる。」
眉村は、申し訳なさそうに後ろ髪を掻いた。
その時だった。
『眉村君と、茂野君、至急監督室まで』
それは、静香の声だった。
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