(暇だな)
ホテルの一室で薬師寺はベッドに寝転がりぼーっと天井を眺めていた。
今、海堂高校は北海道に修学旅行に来ている。
二人部屋の個室で、何気なく外に視線を向けると雪がちらついていた。
こんな風景を眉村と見れたらよかったのに。
ふと、そんな事を考える。
修学旅行に来て四日、毎日スキーやスノボ三昧でそろそろ飽きてきた。
久しぶりに二人で過ごしたいなぁ。
そう思ってはみても、彼とクラスが違うため、なかなか二人っきりになれるチャンスがない。
自分から押しかけるのも少し気が引ける。
眉村と付き合いだしてから四日も離れたのはコレが初めてだった。
(あーなんか、もやもやすんな)
ふぅっと息をついて、もう一度天井を見る。
「おーい、薬師寺。風呂空いたぞ」
呑気な声がして、吾郎がいきなり顔を覗かせた。
突然、彼の顔がドアップで自分の目の前に現れ、薬師寺は飛び上がらんばかりに驚いた。
「脅かすなよ、茂野」
「あんだよ。ボーっとしてるそっちが悪いんだろ?」
薬師寺は、起き上がるとムッとした声を上げる吾郎を見た。
Tシャツに短パンという、風呂上りの出で立ちにドキッとした。
「何、ジロジロ俺の脚見てんだよ?」
「あ、すまん。オレ、風呂行って来るから!」
吾郎に指摘され、短パンから覗く日焼けしていない白い足に釘付けになっていた彼は慌てて風呂に向かった。
「なんだよ、変なヤツだな?」
そんな彼を、吾郎は不思議そうに思いため息をついた。
モドル/ススム