「――さむっ」
チュンチュンとどこからともなく雀の啼く声がする。そろそろ起きねぇとやばそうな気もするが肌寒くて正直布団から出たくねぇ。
「おい」
「うっせーな、寿……あと五分くらいいいだろ?」
「……おい、誰だよトシって。早く起きろ!」
「!?」
いきなりガバッと布団を剥ぎ取られ、俺は驚いて目を開けた。
「やっと気付いたか」
「げっ! ジュニアっ!? つか、俺なんでパンツしか履いてないんだ?」
目の前には何故かジュニアがいて、呆れたように俺を見つめている。
「お前、マジで覚えてないのか? 夕べ、親父の見舞いに行った後飯食いに行っただろ。酒弱いなら弱いって最初から言えよ。たく、酔っ払ったお前引きずって帰るの大変だったんだぞ」
「そっか……」
そう言えば、夕べは二人でギブソンの見舞いに行った後、食事して……それで、明日はオフだからちょっとくらいいいだろって、ジュニアの挑発に乗っちまって酒飲んでそのまま酔っ払っちまったのか。
よく見たらここ、俺の部屋じゃねぇ。
「……って、まさかお前! 酔っ払った俺に何かしたんじゃねぇだろうな!?」
ふと、自分の姿と状況から嫌な予感がして思わずジリッと後ずさった。
「はぁ? 意識のねぇヤツ相手にする趣味はねぇよ。大体、服は暑いつってお前が勝手に脱いだんだろうが!」
勝手に勘違いするんじゃねぇよ。と、迷惑そうにジュニアが眉間に皺を寄せる。
なんだ、……そうだったのか。
「今、少しがっかりしただろ?」
何もされなかった事に安堵した俺の心を見透かしたようにジュニアが不敵な笑みを浮かべながら顔を覗き込んで来た。
「なっ!?」
「そんなに手を出して欲しかったんなら望み通りしてやるよ」
「えっ? ちょ……」
ギシリとベッドが軋み顎をグッと持ち上げられる。
「ほら……」
「――っ」
ゆっくりと近づいて来る気配に俺は思わずギュッと目を瞑ってしまった。
モドル/ススム