吾郎受け R18

LoveSick


「じゃぁ、お先〜!」

「おう! またな」

 先に着替えを済ませ、ロッカールームを出て行くロイの姿を見送り俺はそっと息を吐いた。

 これでやっと着替えが出来る……。

 誰も居なくなった部屋は閑散としていて何処か寂しい感じもする。

 だけど、今の俺にはこの静けさが極楽のように思えた。

 汗でベタベタするユニフォームを脱ぎ捨てると素肌に外気が当たり、今まで感じていた不快感をスーッと拭い去ってくれる。

 やっぱ一人ってのはいいな。誰にも気を使わなくて済むし。

「まだ着替えていなかったのか」

「!?」

 突然後ろから声を掛けられ、ビクリと肩が震えた。

 振り向かなくても、声で誰だか直ぐにわかる。

「なんだよキーン、先に帰ったんじゃなかったのか?」

「お前が中々戻って来ないから、迎えに来た」

 キーンの足音がゆっくりとこちらに近づいてくる。

 そのたびに胸が高鳴り、妙な息苦しさと居心地の悪さを感じる。

「迎えに来た? へぇ、珍しい事もあるもんだな」

 自分の動揺を悟られないよう、平静を装いながらシャツを羽織る。

 意識するまいと思っていても、どうしてもキーンの視線を意識しちまう。

 背中越しに感じる視線の熱さが、昨夜の情事を思い起こさせるようで体の奥が疼きだす。

 そんな俺の思考をお見通しだとでも言うように、キーンの腕が腰にスルリと絡んだ。

「着替え一つで随分と手間取っているようだな」

 なんなら、手伝ってやろうか? と、ベルトのバックルに手が伸びる。

「いいっ! 自分で出来るっつーの!」

 慌ててそれを制した俺を見て、キーンはククッと喉を鳴らした。

「冗談だ。見ていてやるから早く着替えろ」

「……っ、なんで見る必要があんだよ」

 見られると、なんとなく着替えにくい。キーンに見られると思うと尚更だ。

「別に構わないだろう? お前の着替えなど見飽きてる。いいから早く脱げ」

「〜〜〜〜っ、わかったよ!」

 渋々とベルトに手を掛けバックルを外す。

 静かな部屋にカチャカチャと金属音が響き、それが更なる羞恥心を掻き立てる。

 と、その時。



モドル/ススム



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