(薬師寺SIDE)
「なぁ、毎日同じヤツとヤってて飽きねぇ?」
「は?」
昼飯を食ってると、いきなり茂野がとんでもない事を言い出した。
思わず箸を落としそうになるのを何とか持ちこたえ、取り合えず茂野の手を引いて人気の無い屋上へと向かう。
「いきなり何を言い出すんだ、茂野」
天気の話をするかのようにサラリと言うもんだから、一瞬反応が遅れた事を少し後悔する。
「別にいいじゃねぇか、ちょっと気になったんだよ」
「気になったからって、ココは学校だぞ。もう少し時と場所を考えろ!」
全く、学校の教室で何処の誰が聞き耳を立てているかもわからない状況でよくそんな事が言えるな。
正直コイツの無神経さには呆れてしまう。
茂野はヘイヘイ、と面倒臭そうに返事をして再び身を乗り出してきた。
「で? どうなんだよ薬師寺は。飽きたりしねぇのか?」
「……別に。そんな事をお前に教える義理は無い」
「いいじゃねぇか、教えてくれたって。俺とお前の仲だろう?」
鼻であしらったがそれに動じる様子も無く、顔を覗き込んでくる。
茂野とは色々あってお互いの性癖を知る云わば同類の間柄。
しかも立場上同じという事もあって、かなり踏み込んだ愚痴のこぼしあいもしたりしていた。
(と言うより茂野が今みたいに一方的に切り出してくるだけだが)
「お前と関わるとロクな事がないからな」
冷たく言い放つが、馴れ馴れしく肩に腕を掛けてきやがった。
「……そう言うお前は、飽きたのか? 佐藤との関係……」
仕方なく尋ねると茂野は眉を顰めた。
「ん〜、別にヤる事に飽きたわけじゃねぇんだよ。身体の相性は悪くねぇし、ヤる事自体は気持ちいいし」
「……っ、もう少しオブラートに包んで話せないのか」
聞いているこっちが恥ずかしくなってしまう。
「いいじゃん、どうせ誰も聞いてねぇんだし」
あまりにもあっけらかんと言うものだから、俺が気にしているのが段々馬鹿らしくなってくる。
モドル/ススム