吾郎受け R18

LoveSick


「おい、サッカー部のヤツら集団風邪でメンバー一人足りないらしいぜ」

教室にそんな声が響く。

「へぇ、大変そうだね」

昼飯を食いながら寿也がそう呟いた。

「お前人事みたいだな」

「だって人事だろ? ぶっちゃけ僕には関係ないし……そう言えば、君もサッカーやってなかったっけ?」

「まぁな。肩壊して野球できねぇ間だったけど」

「それで、上手いわけ?」

「まぁな。この天才吾郎君にできねぇスポーツなんてねぇよ」

そう言って髪を掻きあげると寿也はクスクス笑う。

「なにそれ、吾郎君らしい」

「あんだよ、笑う事ねぇじゃん」

昼休みの他愛もない会話。

それが後日あんな事になるなんて……。



「へ? 俺が臨時で?」

「申し訳ないが君のサッカー遍歴は調べさせて貰った。レギュラーとしての実績は無いが、部の中に以前福岡でお前と同じ中学にいたと言う生徒が居てな、茂野なら充分ピンチヒッターとして通用すると言うんだ」

放課後いきなり職員室に呼び出され、何事かと思ったら今度の試合の穴埋め役として出場して欲しいという要請だった。

「頼む! 今度の試合は我々が一番力を入れていた大切な試合なんだ」

もう君しかいないんだ。と、頭を下げられれば断りにくくなっちまう。

「いいんじゃない? 出てあげなよ」

突然後ろから声がして寿也が口を挟む。

「って、お前いつの間に!」

俺の問いに寿也は笑顔を向けただけだった。

たまには人助けしたって罰はあたらないだろう?

寿也の言葉にサッカー部顧問はウンウンと頷いて縋るような瞳を向けてくる。

「ちっ、しゃーねぇ。一回だけなら出てやるよ」

「おぉ! そうか! ありがとう茂野君。期待してるぞ!」

結局根負けして、一日助っ人として試合に出る事に。

つーか、サッカーなんて中学2年までだったから身体がついていくのか?

一抹の不安が過ぎる。

スポーツ強豪校と言われる海堂のサッカー部だ。

やはりそれなりに強いんだろう。

助っ人として出たはいいが役に立たなかったじゃシャレにならねぇ。

(やっぱ少し練習の方にも顔出してみた方がいいかもしれねぇ)

ふとそう思った。

監督からユニフォームだけ受け取ると、とりあえず寮に戻る事にした。

モドル/ススム



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