「これで、今日のミーティングを終わります」
静香の声が響き一斉にみんな立ち上がる。
ざわざわと騒がしくなりそれぞれが部屋へと戻ってゆく。
「茂野。お前もどらねぇのか?」
じっと椅子に座ったまま立ち上がろうとしない彼を不審に思い児玉が声を掛けてきた。
「あ、あぁ。俺はちょっと、な」
歯切れの悪い返事をしながらチラリと静香となにやら話し込んでいる寿也を見る。
一瞬視線が交わり、彼がクスッと笑った気がした。
「なんだよ、何処か悪いんじゃねぇ? そーいや今日は珍しく静かだったし」
「……っ、大丈夫だって。俺はなんともねぇからさっさと部屋に行けよ」
ぶっきらぼうにそう言うと野良犬でも追い払うようにシッシッと手をヒラヒラさせる。
「人が心配してやってんのになんだよその態度は」
児玉はムッとしながらもミーティングルームを後にした。
部屋に残ったのは寿也と吾郎だけ。
「あれ、戻らないのかい?」
わざとらしい笑みを浮かべながら近づいてくる寿也を吾郎はキッと睨み付けた。
「誰のせいだよ」
「……元はと言えば、僕のサインを無視し続ける君が悪いんだろ?」
そう言って手元にあるリモコンのスイッチをちらつかせる。
それを見た瞬間、吾郎の身体に緊張が走った。
「君みたいな言ってもわからない自己中心的ピッチャーには身体で覚えてもらうしかないからね」
意地悪な冷たい笑み。
寿也の長い指がスイッチに触れる。
その瞬間、吾郎の体内に埋め込まれたモノがヴーンヴーンと鈍い音を立てながら暴れはじめた。
「わっ、馬鹿っやめっ……くぁあっ」
途端に身体を震わせ身悶える吾郎を寿也は面白い物でも見たような目でクスクス笑いながら見つめていた。
モドル/ススム