吾郎受け R18
LoveSick
「おい、本田元気ねぇな。どうかしたのか?」
練習中、珍しく椅子に座りぼーっと空を眺めている吾郎を見かねて清水が声をかけてきた。
「別に、なんでもねぇよ」
ちらりと視線を向けると緩くため息をつき再び空を見上げる。
「なんだぁ? 一体どうしたんだ?」
「さぁ、恋煩いでもしてんじゃねぇの?」
「恋煩い!?」
ふと、沢村の口にした言葉に一同驚愕の声を上げ顔を見合わせたあと一斉に吾郎をチラ見する。
「まさか。三度の食事より野球が好きな本田君に限って、恋煩いだなんて」
「そうだよ、沢村! アイツに限ってそんなはずないだろ?」
「こらー! 君たち! ちゃんと練習しないか!」
ざわざわとざわめきだした練習場に安藤監督の声が響き渡る。
「おっさん! 悪いけど俺、帰る。 今日はやる気でねぇや」
「えっ? あ、ぁあ」
「やっぱ、今日のアイツ変だよな」
カバンを肩に掛け、土手を駆け上がってゆく後姿をメンバーたちは不思議そうに見送った。
モドル/ススム