眉村が浮気した――。
そう佐藤から聞かされたのは数分前。
にわかに信じがたい話ではあったが、茂野との証拠写真まで突きつけられ愕然とした。
「で? 俺にこんなもん見せてどういうつもりだ」
計算高い佐藤の事だ。
こんな衝撃的なスクープ写真を俺に見せるという事はきっと何か考えがあるに違いない。
そう思って尋ねた。
だが奴は、とんでもない事を言い出しやがった。
「僕達も関係してみない?」
一瞬、佐藤が何を言ったのか理解出来なかった。
天気の話でもするかのようにベッドに座ったまま涼しげな表情を向けてくる。
「な、何言ってんだ、佐藤。それじゃ何の解決にもならねぇだろうが」
「そんな事言って……。じゃぁ君はこのまま眉村を許すつもりかい? そんなの僕らだけ損してるとは思わない?」
急に表情が険しくなり、目を細める。
確かに、このままこの事実を黙認するというわけにはいかない。
だが、そんな事をしたら益々ドロ沼の関係に発展してしまうような気もしないでもない。
「吾郎くんには絶対的な自信があるんだ」
「自信?」
「そう。 僕が吾郎くん以外と関係を持つはずがないって無意識に思ってる。その考えを崩してやらなきゃ、どうせまた同じ事の繰り返しだよ」
眉村だってそうじゃないのかな。
両足の前で腕を組み、怖いほど真剣な表情で俺を見つめてくる。
確かにそれはそうかもしれない。
しかし……。
モドル/ススム