「おい、寿!」
突然部屋のドアが開き、勢いよく吾郎が飛び込んでくる。
勉強机に向かっていた寿也は驚いて顔を上げた。
「どうしたんだい? 吾郎くん」
「へへ、実はさコレ貰ったんだ」
嬉しそうに差し出したものは、2つのお皿に盛り付けられた苺だった。
「へぇ、良かったじゃないか。美味しそうだね」
「だろ? 一緒に食おうぜ」
嬉しそうにフォークを用意して、備え付けのテーブルにセッティングをする彼を見て寿也の表情も綻ぶ。
「何笑ってんだよ、気持ち悪りぃな」
「え? あぁゴメン。 ホントに好きなんだなと思ってさ」
「今、ガキだと思ったろ?」
クスクス笑う寿也に、吾郎はムゥッと眉をしかめる。
「そんな事ないよ。 いいから食べよ」
「そうだな、食うか」
まだ納得できないと言った顔をしながらも、ソファに腰を下ろし、自分の苺を手に取ると持ってきた練乳をかけてフォークの腹で潰し始めた。
「ずいぶん、変わった食べ方をするんだね」
「ん? そうか?旨いぞ」
さも当たり前のように言いながら、グッとフォークに力を入れる。
その様子を、寿也はものめずらしげに見つめていた。
「潰しちゃうと、味が混ざっちゃわないか?」
「だからいいんだよ。苺ミルクうまいじゃん……うわっ!」
「!?」
あっ! と思った時には吾郎の皿がひっくり返ってしまった後だった。
「あーあ、勿体ねー。ベタベタして気持ち悪りぃし」
残念そうに言いながら、自分の指に付いた練乳をペロペロと舐める。
「仕方ないよ。とにかく、拭かないと」
その様子に色香を感じ思わず喉が鳴った。
が、今はそれどころではないと、慌ててタオルを持ってくる。
床に跪いて改めてかかった部分を見てみると、ちょうど太腿の辺りから薄ピンクの混じった白い練乳が広範囲に渡って広がっていた。
モドル/ススム