吾郎受け R18

LoveSick


誰もいない無機質な白い天井を眺めながら、寿也はベッドの上に寝そべっていた。

とても憂鬱な気分で、幾度となくため息を洩らす。

先日、ちょっとした拍子に足を滑らせ階段から落下。

幸い大した怪我ではなかったが、足首をおかしな風にひねってしまい、即入院の運びとなった。

たった数日間とはいえベッド上に拘束されるのはそれなりに苦痛を伴う。

(・・・はぁ、吾郎君・・・来てくれないかなぁ)

先生や職務中の看護士が来た時にしかほとんど開くことのない単調な白い扉を眺め再び気分が沈む。

「よぉ、寿! 階段から落っこちたマヌケな寿くんをお見舞いに着てやったぜ」

寿也の暗く憂鬱だった気分は、突然現れた吾郎の存在によって一気に浮上した。

「もう、来るの遅いよ。フツウさぁ、恋人が入院したらすぐに病室に駆けつけるもんだろ?」

「んだよ。折角来てやったのに、最初の言葉がそれかよ。もっと、「来てくれて、寿くんうれしーい」とか可愛いこと言えねぇのかよ」

吾郎は、あからさまにいやな顔をした。

「そりゃ・・来てくれたのは嬉しいけどさぁ・・・。もう少し早く来てよ」

「仕方ねぇだろ、俺だって忙しかったんだよ。・・・てか、俺が来なかったから、拗ねてんのか」

「・・・違う、僕は拗ねてなんか」

そういいながらもほんの少し頬を染める寿也に吾郎はプッと吹き出した。

「もうっ・・・笑わないでよ。・・・そうだ、吾郎君折角来てくれたんだからモチロン、何か持ってきてくれたんだよね・・・お土産」

「えっ・・・何言ってんだよ。俺、手ぶらだぜ?」

そういう彼に寿也は深く息を吐いた。

たぶん、彼なら手ぶらで来るだろうと思ってはいたが、堂々と言われるとさすがに少し凹む。

「別に僕は、キスだけでもいいんだけどなぁ・・?」

チラリと視線を向けると、吾郎は一瞬驚いた顔をした。

しばらく考え込んでいたが、やがて寿也の側に腰掛けた。

そっと肩に凭れて、髪が頬に触れる。

吾郎の腕が肩に回され唇が重なる。

「ん・・・・」

その彼の足をグイッと自分のほうに引き寄せてそのままベッドに押し倒す。

「んんっ!? ち、ちょっと待て! なに考えてんだよ!・・・けが人のくせに」

「こんなの、大したことないよ。どうせ明日には退院できるし」

服の隙間に手を入れつつ、深い口付けを繰り返す。

「こ・・・・ここ病院だぜ」

「わかってるよ。こういう特殊な状況ってムラムラしない?」

「するか・・・ッ、離せよ、バカッ!」

「嘘ばっかり・・・感じてるくせに」

「お・・落ち着けよ・・こっコラ!」

なおも強引に迫ってくる寿也を何とか引き離そうと、両手を思いっきり突っ張った。

「こんなことして、退院が延びたらどうすんだよ!?」

「う・・それはヤだけど・・・でも・・・」

未だに襲い掛かってきそうな勢いの寿也に吾郎は苦笑した。


モドル/ススム



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