吾郎受け R18
LoveSick
「なぁ、寿・・・まだ本読んでるのかよ。」
入浴を終えて部屋に戻ってきた吾郎は、髪の毛を拭きながらさっきからずっと机に向かい買ったばかりの本を読みふけっている彼に、呆れた声を上げた。
実は、吾郎が入浴する前から読み続けていて、完全に本の世界へと集中してしまっている彼に相手にされず、イライラしていた。
「なぁ、ってば・・・何とか言えよ!」
「うるさいな。読書の邪魔だから少し静かにしててくれる?」
突き放すように言われ、吾郎はしゅんとうなだれた。
「なんだよ・・・俺より本のが大事なのかよ・・・。」
すっかり拗ねてしまった彼は、寿也のベットに寝転がりながら、リモコンでテレビをつける。
けれど、いつも見ている番組も寿也と一緒じゃないとちっとも面白いとは思えなかった。
チラリと横目で見ても、彼はページをめくり全く気がつく様子は無い。
「ちぇっ・・・つまんねぇの・・・。」
電源を消し、頭の後ろに手を当てて大きなため息を一つ。
静かな空間に、ページをめくる音と時計の音だけが響いている。
何度か寝返りを打ち、壁のほうを向いたところで寿也が椅子から立ち上がる音がした。
モドル/ススム