窓の外には雪景色が広がっており、とても綺麗に見える。
「この景色、寿也もみてんのかなぁ」
こんな景色をみながら、二人でイチャイチャ出来たらよかったのに。
そんな事を考えた。
「寿の部屋に、行こっかな」
ふと思ったが、すぐにため息をついた。
彼は、寺門と同室だ。
行ったところで、寺門に”邪魔だからあっちいけよ”とは言えない。
かといって、薬師寺に部屋を空けてもらうわけにもいかない。
(薬師寺の行き場がなくなっちまうもんな)
窓に手をついて、はぁっと息を吐く。
白く曇った窓に手を触れると、ヒンヤリと冷たかった。
(……ヤりてぇな)
悶々と考える。
寿也と触れ合えなくて、吾郎は欲求不満だった。
そういえば、薬師寺も眉村と離れて、ろくに二人で居る時間もないはず。
「アイツ、溜まってねぇのかな?」
そんなことにまで考えが及び、うーんと頭を悩ませる。
「何が溜まってないって?」
何も知らない薬師寺は、頭をタオルで拭きながら声をかけてきた。
吾郎は、その姿をマジマジと見つめ、ごくりと喉を鳴らす。
「薬師寺ってさ、思った以上にいい足してんな」
「は? 何言ってんだよ茂野! てめぇと同じ格好だろうが!?」
舐めるように見られて、薬師寺は半歩後ろに下がった。
「なぁ、薬師寺って……溜まってないのか?」
「だから、何が溜まるってんだよ!?」
訝しげな表情を向ける彼にジリジリと近づき、そのたびに薬師寺は下がってゆく。
ベッドの角に足が当たり、その拍子ににストンと腰を落とした。
「俺今、すっげー溜まってんだよ」
「は!? はぁぁっ!?」
目が据わってジリジリとさらに歩み寄られ、薬師寺はやっとその意味を理解してズザザザザッと毛布を手繰り寄せあとづさった。
「ヤりたくねぇ?」
「な、な……何言ってんだっそういう事は佐藤としろよ!!」
壁にドンとぶつかり逃げ場をなくした薬師寺は、近づいてくる吾郎にフルフルと首をふって見せた。
「寿也は、寺門といっしょだから、無理なんだよ」
「じゃぁ、ガマンしろ!」
「無理。……今、シてぇの……俺」
いやぁな空気に、薬師寺は焦った。
チラッと視線をやれば、吾郎はまっすぐに視線を投げかけてくる。
熱を含んだその瞳に、思わずドキッとしてしまう。
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