「怖い顔してどうしたんだ?」
「……っ、何でもねぇ」
顔を覗き込まれ、薬師寺はぷいっと横を向いた。
わずかに肩で息をしているように見えて、首を傾げる。
熱でもあるのかと額に触れてみるが、熱はなさそうだ。
触れられた薬師寺は、それだけでびくっと体を強張らせた。
目の前に彼の唇がありキスしたい衝動に駆られ、葛藤を繰り返す。
(ああっ、だめだ、俺! ナニ考えてるんだ。ここには佐藤も茂野もいるんだから……我慢しろ)
「薬師寺?」
「ひぁっ」
耳元で声がして、思わず声が出てあわてて口を塞ぐ。
カァッと余計に全身が熱くなった。
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