「・・・・・・全く・・・出すならもっと早めに言え」
「俺のせいかよ、眉村が盛ってきたのが悪いんだろ?」
映画も終わり、2人は近くのファーストフード店に立ち寄った。
注文したものを席に運んで二人で向き合うように座る。
話題は当然映画の事・・・ではなくて先ほどの行為のことだ。
「だいたいさぁ、あんなトコで盛るか?普通」
文句を言いながらハンバーガーをパクつく吾郎に眉村は苦笑した。
「・・・・・・でも、怖くなかっただろ?」
「うっ・・・そりゃ・・・夢中になってて・・・そんなに怖いなんて思う暇なかったけどよ」
「ま、よかったじゃないか。」
アイスコーヒーをかき混ぜながら、クルクル代わる吾郎の表情をじっと見つめる。
怒ったり、赤くなったりめまぐるしく変わるその顔は見ていて飽きる事はない。
「いいわけないだろ! ばっかじゃねぇの!」
「じゃぁ、イヤだったのか?」
突然寂しそうな顔をして息を吐く眉村を見て、吾郎はウッと言葉に詰まった。
「どうして・・・そんなこと言うんだよ、嫌なわけ・・ないだろ?」
「・・・・・・・・・・。」
真っ赤になって俯いた彼を見て、眉村は肩を抱きそっと引き寄せる。
「ぁ・・・・眉村っ・・・こういう事は人前ですんなって・・・」
パッと顔を上げた瞬間、顎を捉えられて、目の前に形のいい唇があって、吾郎は心臓が跳ね上がった。
「あ・・・あの・・・眉村・・・?」
「キス・・・・・しても・・・いいか」
真剣な瞳で見つめられるともう、何もいえなくなってしまう。
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