「…………?」
「行くなよ…眉村」
そっと後ろから回された腕から、吾郎の温もりが伝わり、ドキッとする。
考えてはいけないのに…もしかしたら…と期待してしまう。
「離せ…茂野」
今なら、まだ只のチームメイトでいられる。
吾郎は寿也の恋人なのだから、諦めなければいけないのに……
色々な考えが頭の中をグルグルと駆け回る。
「……頼むから…離してくれ」
「…嫌だ」
「!?」
キッパリとそう言われ、驚いた。
「し、茂野…!」
ギョッとして振り向くと、切なげに自分を見つめてくる。
「なんだよ・・・俺の気持ち聞かないで、勝手に帰れとか・・・」
「・・・・・・?」
「俺・・・・嫌じゃなかった」
「・・・・・・・茂野・・・?」
「眉村に・・キスされて‥嫌じゃなかったんだ」
回した腕に力を込めて見上げれば眉村は驚いた顔で見つめている。
「俺・・・お前が好きだ」
「・・・・っ!」
そんな事を言われてしまえば到底我慢できるはずもなく、強く抱きしめて貪るように唇を奪う。
「んっ・・・ぅ」
僅かに洩れる甘い吐息すらも掬い取るように深く口付けると、突然吾郎の体から力が抜けていくのがわかった。
「おっと・・」
「・・・・はは・・・悪りぃ・・・腰に力入らなくなっちまった」
はにかんで恥ずかしそうに笑う吾郎を、愛しそうに見つめると、ゆっくりとベッドに沈み込む。
「・・・ま、眉村・・・?」
「俺を煽って・・・・どうなるか、わかってるんだろうな・・・?」
「・・・ぁ・・・んっ」
浴衣の隙間から覗く白い肌も、潤んだ瞳も全てが愛しく思え、髪を撫でながら、首筋に吸い付き赤い印を残してゆく。
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