「なっ!? 茂野…? お前…なんでココに!?」
「だってよぉ………なんか…さっきのお前…変だったから」
必死に状況を理解しようとする眉村に、吾郎は視線を落としながら呟く。
「俺には話せない事なのか…?」
「……………」
まっすぐに見つめられると、もう何もいえなくなってしまう。
好きだから・・・
自分を抑えられなくなってしまいそうだから・・・
喉元まで出掛かっている言葉を飲み込んで、ジッと見つめてくる吾郎から目が離せなくなった。
「俺だってチームメイトだろ? 俺に出来る事…なんかあんだろ?」
好きだと言ったら・・・どんな顔をするのだろう。
自分の気持ちを受け入れてくれるだろうか?
いや、そんなはずはない。
色々な思いが交錯する。
「俺…お前の力になりたいんだ。……なんかねぇの?俺がしてやれる事…」
そんな眉村の気持ちなど知る由もなく、両手を膝に置き身を乗り出して、上目遣いで覗き込まれれば、封印したはずの思いがフツフツと込み上げて来て、堪らずベッドに押し倒し吾郎の唇を奪った。
「――え!?」
予想外の眉村の行動に今度は吾郎が驚く番だった。
カッと目を見開いて、今自分が置かれている状況を理解しようと必死になっていると、ふいに眉村が唇を離した。
「俺がお前と、こういう事したい…と、言ったら………どうする?」
「んぁ?」
切なげな顔でそう言われ、吾郎は素頓狂な声をあげた。
「…ま、眉村…?」
「…………悪い。冗談だ……忘れてくれ」
フウッと息を吐き、吾郎の上から退くと、部屋を出て行こうとする。
「お、おい…どこ行くんだよ…」
「……頭冷やして来るだけだ。お前も早く…部屋に帰れ」
苦笑しながらそう言うと、おもむろに浴衣の裾をクィッと引張られた。
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