「あっちーなぁ・・・汗でベタベタで気持ちわりぃ・・・。」
そんな眉村の気持ちなど知る由もない吾郎は、更衣室のベンチに座り、汗で張り付いたシャツを捲ってパタパタと服の中に空気を送る。
その瞬間、服の隙間から胸の蕾が見え隠れして、目が離せずに、思わず喉がなった。
「・・・・・、どうか、したのか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・眉村」
「!!」
ハッと気がつくと、自分の目の前に吾郎のアップがあって、しかも上目遣いで見つめられて、思わず半歩下がってしまった。
「あんだよ・・・変なヤツだな。・・・黙りこくって・・・」
「な・・・なんでも・・・ないんだ」
口元を手で覆い、頬をほんのり染める眉村に、吾郎は首をかしげる。
「お前・・・熱でもあるんじゃねぇの?」
そっと、額に触れられて、ドキリとした。その形のよい唇や、服の下から覗く白い肌に、今すぐにでもむしゃぶりつきたい衝動に駆られる。
思わず手が伸びて触れそうになり慌ててその手を引っ込めた。
彼は寿也のものだと知った時、諦めなければいけないと思った。
自分の気持ちは吾郎にとって迷惑以外の何者でもないから・・。
折角、こうやって話しかけてくれるようになってきたのに、今の関係が壊れてしまうくらいなら、いっそのこと自分の気持ちに目を瞑り想いを封印して、ただのチームメイトとして接していたほうがいくらかマシだ。
そう心に決めたのに。
そう簡単に想いを封じ込めることなど出来る事ではなかった。
こうして二人っきりでいると、抱きしめて自分のモノにしたいと言う思いが強くなってゆく。
咄嗟に手を振り払うと、吾郎は驚いたように眉村を見た。
「・・・悪い。先に戻るから・・・」
お前も早く着替えろよ。
それだけいうと、眉村は更衣室を後にした。
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