吾郎受け R18
LoveSick
どのくらい走っただろうか。
先刻まで夕日があたりを照らしていたのに今はそれが無い。
代わりに大きな月が煌々と輝いていた。
「着いたぞ、降りろ」
「んぁ? んだよ……何もねぇじゃねぇか」
車を止めた場所は、何処かの駐車場だろうか。
時折、打ち寄せる波の音が聞こえ潮風が頬を撫でる。
海が近いのは理解できたがそれ以外は周囲を見回しても何も無い。
「少し歩くぞ」
強引で一方的な彼は、吾郎の返事を待たずにさっさと海の方へ向かって歩き出す。
「おい、待てよ! 何処につれてくんだよ」
くって掛かってみても、キーンは涼しい顔をして、
「来ればわかる」
と、一言。
「やだね。何処行くかもわかんねーのに、誰が付いて行くかっての! 何処行くかしらねぇが、一人で行けばいいだろ?」
「そうか、じゃぁ勝手にすればいい。……あぁ、この辺りは夜になると変質者がウロウロしてるからせいぜい犯されない様にするんだな」
「っ!?」
「どうするんだ?」
と、問われ、吾郎はチッと舌打ちした。
「わぁったよ、行けばいいんだろ? 行けば」
「賢明な判断だな」
ニッと笑う彼に、吾郎はもう一度小さく舌打ちをした。
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