だけどよ・・・。
ヤられんのわかって、泊めてもらうのって・・・どうなんだよ?
まだ、会って五時間くれぇしか一緒にいねぇんだぜ??
悩んでる俺に八木沼っちが一言。
「そうそう、言い忘れてたが、この辺りにはホモがうようよしてるから、野宿なんかしてると、本気で襲われちまうぞ」
!!!!!!!
「・・・・わあったよ」
結局、野宿するよりましだと判断した俺は、八木沼っちと夜をともにすることを選んだ。
ツインルームの部屋のベッドで、俺は一人天井を見上げていた。
八木沼っちは今シャワーを浴びていて、ザーザーという水音だけが部屋に響き渡っている。
・・・・なんか、こうやって待つの、すげぇドキドキする。
別に、初めてじゃねぇのに、心臓の音が耳のすぐ近くから響いてくるような錯覚に陥る。
がチャッと、ドアが開く音。
そして、足音がどんどん俺に近づいてくる。
そのたびに俺の鼓動も早くなって、背中越しに気配を感じるようになった頃には、心臓がぶっ壊れそうなくらいドキドキしていた。
「・・・そんな、緊張するなよ・・・。お前童貞か?」
「うっせぇな! 別に童貞じゃねぇけど・・・・こうやって待つのは初めてなんだよ!!」
強引に寿也に押し倒されたことはあっても、こうやってヤることを前提に待つなんてコトはいままで一度もない。
その異常な恥ずかしさに耐え切れず、枕で顔を覆った俺に、八木沼っちは手の甲にチュッと唇を落とした。
「・・・なんか、可愛いやつだな。お前って」
「可愛いわけねぇっての!」
「顔とかじゃなくって・・・なんつーか・・・その・・・仕草とか・・・」
そう言って、顔を上げた俺に口付ける。
それが、始まりの合図だった。
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