もしかして……オアズケ?
ここまで人を昂ぶらせておいていくらなんでもそれはないだろう。
「ちょっ! 待てよキーン」
ようやく自分が置かれている状況が読めた俺は慌ててキーンを呼び止めた。
「なんだ?」
「……っ、こんな状態で置いてくな」
「嫌なんだろう?」
表情の読めないすっげー偉そうな態度で俺に近づいて来る。
全部コイツの計算どうりなのはわかってるけど、こんな状態で放置されるなんて堪ったもんじゃねぇ。
「い、いやじゃ……ねぇ。いいから……最後までシてくれよ」
こんな事言わされるのはずっげー屈辱的だ。でも背に腹は変えられねぇ。
「いいだろう。俺を煽った責任は取ってもらうからな」
「い、いや。煽ってねぇし」
「煽ってるさ。お前の存在そのものが俺を熱くさせる」
ベンチにゆっくりと押し倒され熱い口付けが降って来る。
太股に感じる自分とは別の熱さに身体がゾクリと震えた。
足を高く持ち上げられ、割開いた隙間に熱い自身が押し当てられる。
ゆっくりとナカに押し入ってくる感触に俺はたまらず息を詰めた。
「……は……ぁっ……」
何度抱かれても入ってくる瞬間の異物感って言うのは慣れる事は無い。
つい身構えて変な力が入ってしまう。
でもまぁ、それも一時的なもので……。
すっかりコイツの形を覚えこまされた身体は、簡単に奥からせりあがって来る快感に呑まれていってしまう。
「あっ、ぁあっ!」
ハァハァと聞こえる互いの息遣いとギッギッと椅子の床を摺る音が部屋中に響き独特の雰囲気を醸し出す。
「茂野……もう少し声のトーンを落とせ」
「んなの、無理! そんな余裕ねぇよっ」
突き上げられるたびに猛烈な快感に襲われ、とめどなくあられもない声が洩れる。
「チッ、仕方の無いヤツだ」
「んっ……は……ぁっん」
俺の声が洩れないようにと唇を塞がれ、激しく吸われ眩暈がした。
「くっ、茂野……っお前は、俺のモノだ」
「はぁっ? こんなときに何言って……ぁっ」
「こんな時だからな。俺はお前が好きだ」
「……っ」
耳元でゾクゾクするほど甘い声で囁かれ、昂ぶっていた身体が一気に高みへと追い詰められる。
そんな事言われたら俺……っ。
「あっ……ああっ――!!」
「くっ!」
一際大きく突き上げられて、こらえ切れずにキーンの腹に精をぶちまけてしまった。
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